【ネット時代のメディアとは】「5年後、メディアは稼げるか―Monetize or Die?」

いやー、久しぶりに本を読んだ気がする。
小さくはあれど、このブログを運営する僕としては「メディア」運営については超重要な関心ごとなのだ。
規模が小さかろうが、世間的に影響力を持つマスメディアだろうが、なにかしら通じる考え方があるはず。
そんなわけでたまたまネットで見つけた佐々木紀彦さん著「5年後、メディアは稼げるか――Monetize or Die?」に興味を惹かれてすぐさまアマゾンでポチった。
で、一通り全部読んだのだけれど、復習も兼ねて”書評”を書いてみようと思う。
全体を通して読んだ感想‥
まずはじめに言っておきたいのが、この本が出版されたのが2013年の8月なので約2年半前の見解ということ。
インターネット業界はスピードが早いので1年前、2年前というのは結構”古い”という感覚が残る。
でもでも!この本で述べていることは5年後をターゲットとしているので、2018年くらいの見解を述べているのでまだまだ参考になることもたくさんあった。
と同時に、2014年、2015年くらいにどんなことができるようになったのか、みたいなことも著者の佐々木紀彦さんの見解通りだった、と感じた。
これから具体的に本文を引用して、それについて語りたいと思いますが、その前に佐々木紀彦さんがどんな人なのかお伝えしておきます。
佐々木 紀彦(ささき のりひこ)1979年生まれ。
慶應義塾大学総合政策学部卒業後、東洋経済新報社に入社し記者として活躍。2007年9月より2年間休職し、スタンフォード大学大学院で修士号(国際政治経済専攻)を取得する。帰国後は『週刊東洋経済』編集部で「非ネイティブの英語術」などのヒット企画を担当した後、2012年に『東洋経済オンライン』編集長に就任。最高で月間5500万PVを叩き出す人気メディアに育て上げる。著書『5年後、メディアは稼げるか?』(東洋経済新報社)も話題に。今年7月、ユーザベースに電撃移籍し、『NewsPicks』編集長に就任。
出典:http://next.rikunabi.com/journal/entry/20140904
東洋経済オンラインの編集長に就任してから業界トップに育て上げ、現在はNewsPicksの編集長をしているメディア界の人。
新聞や雑誌が次々とネットメディアへの参入をしていく中で紙媒体の特性、ネット媒体の特性を踏まえて必要なスキルやマネタイズ方法についてなど様々な要素で述べている。
ウェブメディアは”コンテンツの質”だけでは戦っていけない
メディア新世界において、競争力の決め手となるのは、コンテンツの質だけではありません。それと同じくらい重要なのが、テクノロジーとクリエイティブ、そして、PDCA(計画→実行→評価→改善)を繰り返すスピードです。ユーザビリティ(利用者にとっての使いやすさ)とデザインに優れたサイト設計、読者の興味にあった記事や広告をマッチングする技術、日々サービスを改善する機動力などの ”総合力”によって、勝負は決まるのです。-P16
僕はこの本を読むまで全く新聞や雑誌などのメディア業界のことは知りませんでした。
本の後半に書いてありましたが、紙媒体の新聞や雑誌はコンテンツの質が主に重要とされていたようです。
それがウェブというフィールドに移ると、クリエイティブやテクノロジーなどの要素も必要になってくると。
僕がブログを運営していてつくづく「プログラミングは必修だな」と思うのですが、やはりサイトを構成するためのスキルが必要になってきます。
大抵の紙媒体は印刷して終わりだったかもしれませんが、そもそもウェブサイトにはクリックしてどうなる、とかの動きがあるので、文章やデザインをするだけでなく、ウェブの仕組みについての知識も必要になってくるわけです。
そして「ユーザビリティ」は使いやすさ、サイトの利用しやすさで「使いにくい」「読みにくい」「ページの表示速度遅い」などなどいろんな要素を感じながら修正していかなければ、興味を持ってくれた読者はすぐに去ってしまいます。
この引用した文章だけでも感じましたが、この本に書いてあるウェブメディアの条件などは僕が運営するような小さな個人ブログでも本質的には変わらないでしょう。
これらの要素を総合力として必要なんだ、と述べています。
つまりどれかが欠けていることはよろしくない。いろんなスキルを学んでいかなといけないな、と感じます。
テクノロジーが主役になってきてる
毎日のようにネット漬けになっている僕もテクノロジーネタが大好きでTwitterでよく呟いていますが、これまでは日陰にいたテクノロジーのエンジニアも今や表舞台に立つ時代です。
ニュースキュレーションサービス「グノシー(Gunosy)」は、東京大学大学院のエンジニアらが開発したものです。メディア新世界ではコンテンツを作る記者・編集者でなく、すごいサービスを作るテクノロジストたちもスターになるのです。-17
インターネットの世界においては技術者、テクノロジーに関する知識は必須です。
コンテンツが王様→コンテンツとデータが王様
新世界では、コンテンツを売った「後」が肝心になります。どの記事が読まれたか、どんな属性の読者が読んだのか、どの時間帯に読んだのか、どのページでサイトから離脱したのか−これらのデータを収集・統合・分析し、コンテンツの作成・広告営業・会員戦略などに生かす視点が欠かせません。
〜中略〜 新世界メディアに求められるのは、データ分析のプロ(=データサイエンティスト)と、マーケティングのプロです。-p18
最近行ったインターネット父こと「村井純」さんのイベントでこれから重要になるスキルとして、データサイエンティストが重要だと言っていたことを思い出した。
僕レベルの話でいうと、ブログの解析にGoogle Analytics(グーグル アナリティクス)を使って、ブログの訪問者のデータをほぼ毎日見ていますが、「どのページで離脱が多い」「どんな属性がどんな時間に読んだのか」まで詳しく解析していません。汗
ブログの投稿時間とか重要だと言われていますが、そこまで気にしていませんでしたね。。。
データサイエンティスト。この単語と重要性はぜひとも覚えておきたい。
個人より会社→会社より個人
デジタルでは「個人のキャラ」がモノを言います。主観を抑えた記事をたんたんと書いた記事よりも、個人の色がにじみでた記事の方がよく読まれるのです。
〜中略〜 個々のジャーナリストは、会社名を抜きにした”裸の力”が試されます。作家やアーティストに近い存在になるのです。媒体はあくまでプラットフォームであり、主役は著者です。-p21
お堅いメディアみたいな感じで表現していくよりも、自分らしく、なんならエッジの効いたキャラで表現していくのがウェブでは向いているとのこと。
思い返してみると、たしかにネットでの有名人は炎上していたりとエッジが効いているような気がする。
僕ももっとくだけた感じのキャラになりたいですな。
確かに記事を読んだときに面白かったりしたら、「どんな人が書いたのか」気になる。
そこからそのライターのプロフィールに飛んでどんな人か調べたりその人のブログに飛んだりすることもある。
たまたま聞こえた音楽が気になってそのアーティストを調べるのと一緒ですね。(共感されないかも…)
あ、たまたまテレビに出てた俳優・女優が気になって調べるのと一緒ですね。(これはありそう!)
オリジナリティを出すために必要なスキル
オリジナリティのある読み物が、媒体力のコアになっていきます。そこで鍵を握るのが、分析力であり、ストーリーテリングの力であり、人の本音を引き出す力であり、斬新な切り口を考える力です。-p24
僕はビビビッ!ときました。
なんでかというと、ストーリーテリングが重要なスキルとして挙げられていたからです。
もともと文章を書くことにおいてストーリーテリングを勉強する必要あるな、と思っていたので、まさに、やっぱり重要でした。
読ませる文章が書けなければ、魅力的ではありません。
文章がメインのメディアにおいて文章力は基礎技術です。
と、ついでにストーリーテリングについての記事を書いたので、興味があればご覧ください▼
【関連記事】:”物語(ストーリー)”を使って聞き手に印象を残す技術「ストーリーテリング」の魅力。
ビジネス的スキルも当たり前に必要だ
デジタルの世界では、コンテンツ作成とビジネスがどんどん融合していきます。どんな記事がページビューやリピート率が高いのか、どんな記事を読んでいるとき読者は有料会員登録を考えてくれるのか、どんな記事に掲載される広告がクリックされやすいのか、この記事は原稿料に見合う収入をもたらしているのか−そうしたことを、ウェブメディア運営者はしっかり意識しなければなりません。-p29
むむむ…。
完全にデータばっかりですね。
しかし、これくらい調べるのが先端を走るプレーヤーの基本なのですね。
数字に強くならないといけませんね。
でも言えることは「いかに読者の視点に立って考えることができるか」が重要だということ。
フィードバック→これはどうだ!→フィードバック→これでどうだ!…これの繰り返しなんですね。
そのなかでデータ解析やストーリーテリングのスキルが重要なんだろうと思います。
てな感じで佐々木紀彦さん著「5年後、メディアは稼げるか――Monetize or Die?」の書評はこんなところにします。
この本のなかで文章力を身につけるために必要な本として谷崎潤一郎さんの「文章読本」を紹介されていたので速攻でアマゾンで購入しました。
「プロの編集者がオススメする本だから絶対読んどいた方がいいでしょ」というノリで買いました。
今その本読んでますが、昔の本なので読むのがちょっと難しい。。。
とにもかくにも、インターネットメディアは面白い文章が書ける、役に立つ文章が書けるだけではなくてビジネス的要素・テクノロジー的要素・編集者的要素などいくつかの要素も重要になってくるということ。
…まあ、覚えることはたくさんあるけれど、実行することも忘れてはいけない。(ちんぷんかんぷん)
僕が読んだ佐々木紀彦さん著「5年後、メディアは稼げるか――Monetize or Die?」はこちらで購入できます▼
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