報道写真の展覧会『世界報道写真展2017』を見て、感じた写真とは
- 2017.08.07
- 作品の感想 / Impressions
世界報道写真展2017を恵比寿で観てきました。
どんな写真が展示されているのかは公式ページよりご覧になれます▼
世界報道写真展2017
リアルな世界での出来事を描写した報道写真を見てきて、写真撮影初級者として感じたことをざっと綴りたいと思います。
同じ地球で起こっている悲しい現実
日々普通に豊かな暮らしをしている僕にとって世界の出来事を知る機会はとても少ない。
テレビもほとんど見ないので、情報の収集源は主にネットになっている。
これまでにもドキュメンタリー映像なんかで世界で起こっている問題などの出来事を見ることはあるけど、今回の世界報道写真展2017ではよりリアルに世界の現実を見た気がした。
僕の知らない場所で貧しく餓えている人がいて、命からがら海を渡り、紛争から逃げ出す人たちがいる。死が間近にあり「いつ自分が死んでもおかしくない環境」がある。
そんな世界中で起きている悲しい現実を報道カメラマン達が時には自身の命の危険を顧みず写真を撮っている。これもまた1つの現実。
人が死んでいる写真も展示されていて「世界でのリアルなのか」とびっくりした。血が垂れていて、内臓が出ている写真もあった。
「モザイクがかかってないんだ!」とはじめはびっくりしたけど、これが世界でのリアルで真実なんだ。テロや戦争、銃撃、爆撃が一瞬で悲惨な現場を生み出していることを写真が伝えている。
カメラマンの現場にいるための苦労
そうして数々の写真を見ながら、写真を撮る人カメラマンはどんな暮らしをしているのか考えた。
写真展のトップに表示されている男が左手を挙げて叫んでいる写真は、駐トルコ・ロシア大使が殺害された現場を捉えている。
下方には殺害された大使が横たわっている。負傷したのではなく、死んでいる。
こんな衝撃的な事件に出くわし、カメラに納めるカメラマンは日々アンテナを張っていなければならない。常に撮影ができるようにカメラの準備もしているはず。
そこで以前に行ったプロカメラマンの講義での言葉を思い出した。
「僕は自分が狙っている写真が撮れるまで待つ」
天候の状況が多少悪くてもその写真で納得するのではなく、良い天候になるまで待つ、ということだった。
だからプロのカメラマンはベストタイミングを逃さないために常に撮影できる準備をし、待つことをする。
途方も無い行動力も必要としているし、忍耐力も必要だということだ。
華やかな写真に人は群がらなかった
日頃ツイッターやフェイスブック、インスタグラムを見ている僕としては、写真展での華やかな写真に人が群がっていなかったことは驚きだった。
一般的に受けそうな快晴の海の写真だったのに。水色の透明度の高い絶景の海に何も邪魔するものが無い水平線の写真。
でも写真展ではこの写真の前に留まる人はほとんどいなかった。
みんな問題を訴えかけてくるような暗めの写真に群がっていた。
報道写真展だから、そりゃ問題を感じる写真に興味があるのが必然なのかもしれない。
それにしても問題というかテーマのある写真には深みがあるんだと思う。奥行きというか。
何気ない日常を撮っているようで、その写真の要素には時代を感じせる物や事が映し出されているのかも。
”インスタ映え”と華やかな写真が流行っている今、誇張する事でアピールする写真の使い方以外での表現、伝え方をもっともっと考えていきたいと世界報道写真展2017に行って感じた。
二宮パトリク
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