『サルチネス』(古谷実)笑いながら人生をしみじみ考えるマンガだ

『サルチネス』(古谷実)笑いながら人生をしみじみ考えるマンガだ

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全4巻と短いマンガだが、笑いながらも人生をしみじみと考えさせられた。

作者の古谷実さんは「行け!稲中卓球部」でおなじみの漫画家で「ヒミズ」は映画化されている。

今作『サルチネス』は超変わった価値観を持つ主人公が、人生に勝利すべく翻弄する物語になっている。

 

生きていくって、クソ悲しくなったり、クソ嬉しかったり、いろんなことがある。”何か”がある人生は楽しい。

サルチネスのストーリーはこうだ。

主人公『中丸タケヒコ』は妹『愛ちゃん』の幸せを願うことだけに生きてきた。

だけどある日、”自分が自立できていない”せいで妹が幸せになることができないと知って、家を飛び出し修行に出る。

・・・ちなみに中丸タケヒコは人生に勝利するために17年間、フラフープを落とさないで2年間過ごしたり、3ヶ月間土に埋もれ食事を運んでもらい過ごすなど修行を行なってきた『超変人』である。

中丸タケヒコが家を出て、いろんな人に出会い、いろんな価値観に触れていく状況をサルチネスで読んでいくと、『人生にはいろんなことがある複雑さ』みたいなものを感じられる。

自立すべく便利屋を始めてみたものの思うように依頼が入らなかったり、ホームセンターで見つけた野菜の種で自給自足をしようと考えるも栽培する土地がなかったり。

人が生きていく上で「あ〜でもない、こ〜でもない」といろんな経験をしていく様が、僕自身の心境と重なってじわーと読んだ後に余韻が残る。

 

登場人物はみんな個性が強いけど、みんな良いやつ

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アル中、ギャンブル中毒、ニコチン中毒と様々なことに依存する心の弱い人がいたり、自分より『下』とみなしたやつとじゃないと決して会話をしない人がいたり、催眠術で世界を平和に本気でしようと考えているやつがいたりと、とにかく強烈な個性を持った登場人物がホイホイ登場する。

でもみんな根は『良いやつ』で、でも考え方がおかしな方向を向いているっていう・・・。笑

もちろんマンガだからなのかもしれないけど、みんな素直に心で会話している感じがある。

迷っている時も、自分の意見に自信がある時も、悲しい時も。

そんないろんなキャラが自分と向き合ったりする様子を見ていると、「なんか自分も頑張ろう」って思う。

上の場面みたいにこんなに感情を表に出すようなことって、日常でほぼないよね。笑

だから、サルチネスで繰り広げられるそんな環境がうらやましく思ったりする。

良い時も悪い時もダイナミックに人生を生きたいよね。

 

他人の幸せは自分が考えるものとは違う。そんなメッセージなんじゃないかと感じた。

到底一言では表すことができないんだけど、自分が「幸せになれる」と考えていたことが、他人にとっては幸せではないこともあるし、そもそも自分の思っていた幸せが後に『本当の幸せ』ではなかったりする。

生きているだけで幸せだと感じる人もいれば、お金持ちになったら幸せになれると考える人もいる。

幸せの基準は1人1人違うので、他人と自分の価値観は違う。

当たり前なんだけど、ふと気付いた時に他人が自分と同じ感覚だろうって思い込むことがある。

 

サルチネスは、根底に『人生とは?』『幸せとは?』というキーワードがある。

しかも笑いの部分も面白くて引き込まれるので、笑った後にじんわりと『どんな人生が幸せなのか?』考えさせられる。

作者の古谷実さんはすごい発想をするなーとつくづく思う。

浮気現場を見た青年が制裁を下すために夜中車にうんこするとか、罰として身体中にマジックで点を書かれる『ブツブツマン』とかどうやったらそんな発想が生まれるのか感心する。

こうやって面白い設定を考えることができたら、強力な武器になる。

ユーモアたっぷりに人を笑わせられるってすごく魅力的な能力。

腹抱えて笑いたいなら『稲中卓球部』がオススメだし、有意義な時間にしたいならサルチネスがオススメです。

 

『サルチネス』の他のユーザーレビューや詳細は以下から▼

 

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あと、絵が上手い!

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